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【連載】ウィーンで歳を重ねるということ④歩くことを、楽しみに変えてみる ―Stadtwanderwegで見つけた、小さな健康習慣―

7 時間前
読了時間: 8分

歳を重ねるにつれて、

「健康のために〇〇しなければ」

ということが少しずつ増えてきます。


運動しなければ。

食事に気をつけなければ。

健康診断にも行かなければ。

もちろん、どれも大切です。


でも、せっかくなら「健康のために頑張って何かをする」のではなく、楽しいことが、結果として健康にもつながっている。

そんな毎日の方がいいな、と私は思います。


先日、友人から、

「ウィーンのStadtwanderwegを全部制覇する!」

と聞きました。


Stadtwanderwegという名前はこれまでにも耳にしたことがありましたが、実はどんなものなのか全く知らなかった私。


そこで友人に付き合って、まずはStadtwanderweg 4(Jubiläumswarte)を歩いてみることにしました。


これが、思っていた以上に楽しかったのです。



ウィーンのStadtwanderwegとは?


ウィーン市には、14のStadtwanderweg(市内ハイキングコース)があります。


Kahlenberg、Hermannskogel、Bisamberg、Prater、Wienerbergなど、ウィーンに住んでいる方なら聞いたことのある場所もたくさんあります。


コースの長さや難易度もさまざまで、公共交通機関を利用してアクセスできるのも魅力です。


「ハイキング」というと、

登山靴を履いて、朝早くから遠くの山へ……

というイメージがあるかもしれません。

でもStadtwanderwegなら、もっと気軽。

週末に数時間空いたら、電車やバス、トラムで出かけて、歩いて、また公共交通機関で帰ってくる。

ウィーンでの日常生活に取り入れやすいハイキングです。



大人になっても楽しい「スタンプラリー」


そして、私が面白いと思ったのがWanderpassです。

Wanderpassを持って歩き、それぞれのStadtwanderwegに設置されているスタンプを集めます。

つまり、ちょっとしたスタンプラリー


ただ歩くだけではなく、

「今日は4番!」

「次はどこにしよう?」

「あと何個?」

と、小さな目標ができます。


集めたスタンプの数に応じて、ウィーン市からWandernadel(ハイキングバッジ)ももらえます。


3スタンプでシルバー、7スタンプでゴールド、全スタンプを集めるとプラチナ。


Wanderpassはウィーン市のウェブサイトからダウンロードできるほか、市庁舎のStadtinformationでも無料でもらえます。


大人になっても、こういうものは意外と楽しいものです。



まずはStadtwanderweg 4へ


今回、友人に付き合って歩いたのは、

Stadtwanderweg 4 ― Jubiläumswarte。


スタートとゴールは14区のRettichgasse。全長7.2km、公式の所要時間は約2時間半~3時間です。


Dehneparkを抜けてJubiläumswarteへ向かい、途中のWaldschule Ottakringには、お目当てのスタンプもあります。


ところで私、この時点で一つ勘違いをしていました。

名前に「Stadt」と付いているので、

「ウィーンの街並みや歴史的な場所を眺めながら、のんびり散策する感じかな?」

と勝手に想像していたのです。


そこで当日の私の格好は、

スカートに日傘。


靴だけは、幸いちゃんとスニーカーでした。

ところが歩き始めてみると……


あれ? 普通に山道なんですけど。

土の道あり、坂道あり、森の中あり。


ここでようやく理解しました。

Stadtwanderwegの「Stadt」は、「街中を歩く」という意味ではなく、ウィーン市(Stadt Wien)の中にあるWanderweg。


なるほど。

私が勝手に「歴史的街並み散策」に変換していただけでした(笑)。


周りを見れば、皆さんそれなりにハイキングらしい格好。

その中を日傘を差してスカートで歩く私。

どう考えても、服装の選択はやや不正解。


とはいえ、本格的な登山というわけではありません。しっかりしたスニーカーを履いていたおかげで、私も最後まで問題なく、楽しく歩くことができました。


これから行かれる方には、私の真似はせず、

歩きやすい服装+しっかりした靴

をおすすめします。また、十分なお水、軽食、急な天候変化の対応グッズも念の為持たれてください。



「7km歩こう」より、「スタンプを取りに行こう」


そして、スタンプポイントに到着。

「あった!」

とスタンプを押します。


たったそれだけなのですが、これが意外とうれしい。

「今日は7km歩きましょう」

と言われると、少し構えてしまいます。


でも、

「スタンプを取りに行こう」

だと、なんとなく歩けてしまう。


友人と話して、森の中を歩いて、知らない景色を見て、スタンプを探す。

そして気づいたら、7km歩いていました。



「運動した」というより、楽しい時間を過ごしたら、それが運動にもなっていた。


私は、そこがとてもいいなと思いました。

「運動しなければ」と思わなくてもいい


診療では、

「もう少し身体を動かしましょう」

というお話をすることがあります。

高血圧、糖尿病、脂質異常症、体重管理、認知症予防。

どれを考えても、日常的に身体を動かすことはとても大切です。


でも、

「毎日30分歩きましょう」

「週に150分は運動しましょう」

と言われると、それだけで宿題のように感じてしまうこともあります。


運動があまり好きではない方なら、なおさらです。


だから私は、健康のためだけに運動しなくてもいいと思っています。


景色を見たい。

友人と話したい。

知らないウィーンを歩いてみたい。

スタンプを集めたい。

途中で何か美味しいものを食べたい。


その結果、

気づいたら、たくさん歩いていた。

それでも十分です。



散歩も、立派な運動です


「運動」というと、ジョギングやジムを思い浮かべる方も多いかもしれません。

でも、歩くことも立派な身体活動です。


定期的に身体を動かすことは、心臓や血管の健康、血圧、血糖、体重管理などに役立つほか、睡眠や心の健康にも良い影響を与えることが分かっています。


だからといって、最初から完璧を目指す必要はありません。

普段あまり運動をしていない方なら、

まずは、今より少し歩く。

一駅手前で降りてみる。

エレベーターではなく階段を使ってみる。

少し遠回りして買い物に行く。

週末に長めの散歩をしてみる。

そして時々、Stadtwanderwegへ。

そんな小さな積み重ねも、立派な健康習慣です。



せっかくウィーンに住んでいるのだから


海外で暮らしていると、

仕事、家事、子育て、買い物、さまざまな手続き……

毎日をこなしているだけで、あっという間に時間が過ぎてしまいます。

でも、せっかくウィーンに住んでいるのだから、

健康のためだけではなく、この街での生活そのものを楽しむ。

それも大切なことだと思います。


「運動しなければならないから歩く」のではなく、

人生を楽しむために歩く。

知らなかった景色を見る。

森の中を歩く。

友人と話す。

ちょっと笑う。

そして、スタンプを一つ増やす。

その時間が、結果として身体にもいい。

歳を重ねていく中で、こういう健康習慣は案外大切なのかもしれません。



友人は本当に制覇。そして次は「rundumadum」


さて、

「Stadtwanderwegを全部制覇する!」

と言っていた友人。

本当にひと夏で全コースを制覇してしまいました。


そして次なる目標は、

rundumadum-Wanderweg。

こちらは、さらに壮大です。

ウィーンをぐるっと一周する、全長約120kmの周回ハイキングコース

とはいえ、120kmを一気に歩くわけではありません。

全部で24のEtappe(区間)に分かれていて、一つひとつの区間を少しずつ歩くことができます。各区間のスタートとゴールにも公共交通機関でアクセスできます。

こちらにも専用のWanderpassとスタンプがあります。


つまり、

少しずつ歩いていけば、いつの間にか自分の足でウィーンを一周。


これはちょっと面白そうです。

私も今度、まずは一度歩いてみる予定です。

120kmを制覇するかどうかは……

今のところ約束しないでおきます(笑)。



歳を重ねるということ


ウィーンに暮らしていても、まだ知らない道や景色がたくさんあります。

歳を重ねるというと、

体力が落ちる。

病気が増える。

できないことが増える。

そんなことに目が向きがちです。

もちろん、身体の変化と上手に付き合っていくことは大切です。

でも、

歳を重ねるということは、できないことが増えていくことだけではなく、今まで知らなかった楽しみを見つけていくことでもある。

少し歩いて、

少し笑って、

知らなかったウィーンを一つ見つける。

そして、それが身体にもいい。

「健康のために歩く」のではなく、「人生を楽しむために歩く」。

そんな健康づくりなら、長く続けられそうな気がします。

次回のrundumadumには、もちろんスニーカーで。

そして今度は、「ウィーン市内の散歩=優雅な街歩き」と勝手に変換せず、服装もちゃんと考えてから出発しようと思います(笑)。



「ウィーンで歳を重ねるということ」シリーズ


健康とは、病気を予防することだけではないと思います。

ウィーンで暮らしながら、歳を重ねながら、毎日を少し心地よく、そして楽しく過ごすこと。

この連載では、そんな日々の中で見つけた健康のヒントを綴っていけたらいいなと思います。




※Stadtwanderwegには坂道や未舗装の道、森林内を歩くコースもあります。歩きやすい服装と滑りにくい靴を選び、天候や体調を確認し、無理のないコースを選んで楽しんでください。


※持病のある方、長期間運動をしていなかった方、歩行中に胸痛、強い息切れ、めまいなどを感じる方は無理をせず、必要に応じて医師にご相談ください。


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