オーストリアの健康診断(Vorsorgeuntersuchung)とは?―無料で受けられる予防検診―
- Dr. Rie Iwaki

- 6月7日
- 読了時間: 4分
「オーストリアにも健康診断はあるのですか?」
診療をしていると、ときどきそんなご質問をいただきます。
日本では会社の健康診断を毎年受けていたけれど、オーストリアに来てからは一度も受けていない、という方も少なくありません。
実はオーストリアには、Vorsorgeuntersuchung(予防検診・健康診断) という制度があります。
18歳以上でオーストリアに居住している方であれば、原則として年に1回、無料で受けることができます。保険加入者だけでなく、一定の条件を満たせば保険未加入者でも利用できます。
Vorsorgeuntersuchungの目的は?
この健康診断の目的は、病気を見つけることだけではありません。
特に重点が置かれているのは、
・高血圧
・糖尿病
・脂質異常症(コレステロール)
・心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患
・一部のがん
といった、生活習慣病や将来の健康リスクを早い段階で見つけることです。
症状が出てから受診するのではなく、
「まだ症状がない時期に確認する」
という考え方が中心になっています。
誰が受けられる?
オーストリアに居住する18歳以上の健康保険に加入している方であれば、年1回無料で受けることができます。
受診できる場所は、
・家庭医(Hausarzt)の一部
・内科医の一部
・ÖGKのGesundheitszentrum
などです。
毎年案内が郵送されますが、自分から予約することも可能です。
どんな検査をするの?
一般的には次のような内容が含まれます。
問診
まず、
・既往歴
・家族歴
・喫煙
・飲酒
・運動習慣
・食生活
などについて確認します。
身体測定・診察
・身長
・体重
・BMI
・血圧
・診察
を行います。
血液検査
代表的な項目として、
・血糖値
・HbA1c
・総コレステロール
・HDLコレステロール
・LDLコレステロール
・中性脂肪
・Hb(ヘモグロビン値) 女性のみ
などが調べられます。
尿検査
尿蛋白や尿糖などを確認します。
便潜血検査
大腸がん検診の一環として、便中の血液を調べる検査が行われます。
日本の健康診断との違い
日本の会社健診に慣れている方は、
「心電図は?」
「胸部レントゲンは?」
と思われるかもしれません。
実は、オーストリアのVorsorgeuntersuchungでは、全員に胸部レントゲンや心電図を行うわけではありません。特に胸部レントゲンは肺がん検診の目的で行われることはありません。
まずは問診や基本検査でリスクを評価し、その結果に応じて追加検査を検討する考え方が基本です。
がん検診は別制度
ここは日本人の方が誤解しやすいポイントです。
Vorsorgeuntersuchungを受けたからといって、すべてのがん検診が終わるわけではありません。
例えば、
女性
・子宮頸がん検診(PAP検査)
・乳がん検診(マンモグラフィ)
男女共通
・大腸がん検診
などは、別途推奨される検査があります。
実際に受けた方がいいの?
私は「はい」と思っています。
理由は単純で、
高血圧も糖尿病も脂質異常症も、
初期にはほとんど症状がないからです。
診察室でも、
「血圧が高いとは思わなかった」
「コレステロールを初めて指摘された」
という方にお会いすることがあります。
症状がないうちに気づければ、生活習慣の見直しや早めの治療につながることがあります。
特に受診をおすすめしたい方
・40歳以上になった
・しばらく血液検査をしていない
・高血圧や糖尿病の家族歴がある
・喫煙している
・体重が増えてきた
・運動不足が気になる
・最後の健康診断が何年前か思い出せない
そんな方は、一度受けてみる価値があると思います。
まとめ
オーストリアのVorsorgeuntersuchungは、18歳以上であれば年1回無料で受けられる健康診断制度です。
目的は病気を見つけることだけではなく、将来の病気のリスクを早めに把握し、予防につなげることにあります。
「症状がないから大丈夫」ではなく、
「症状がない今だからこそ確認しておく」
そんな機会として活用してみてはいかがでしょうか。
当院でも、健康診断結果のご相談や、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病の管理についてご相談いただけます。また、胃カメラ、大腸カメラのスムースな予約や日本語での説明なども行なっております。どうぞお気軽にご相談ください。
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