HPVワクチン、接種歴を一度確認してみませんか?―子宮頸がんだけではない「がんを予防するワクチン」―
- Dr. Rie Iwaki

- 6 日前
- 読了時間: 4分
「子宮頸がんワクチンですよね?」
HPVワクチンというと、そう聞かれることがあります。
確かにHPVワクチンは、子宮頸がん予防のワクチンとして広く知られています。
けれど実際には、それだけではありません。
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、
・子宮頸がん
・肛門がん
・中咽頭がん
・陰茎がん
・外陰がん、腟がん
・尖圭コンジローマ
などの原因になることが知られています。
つまり、HPVワクチンは女性だけのワクチンではなく、男女ともに関係するワクチンです。
今回は、オーストリアで暮らす日本人の方に向けて、HPVワクチンについて整理してみたいと思います。
オーストリアでは男女ともに推奨されています
日本では長い間、
「子宮頸がん予防=女の子のワクチン」
という印象が強かったかもしれません。
一方、オーストリアでは、HPVワクチンは男女ともに推奨されています。
それは、HPVによる病気が女性だけの問題ではないからです。
男の子も将来HPV関連のがんや尖圭コンジローマになる可能性があります。
また、社会全体で感染を減らすという意味でも、男女ともに接種することが重要と考えられ
ています。
現在の無料接種の対象は?
2026年現在、オーストリアでは、
9歳から21歳の誕生日まで
HPVワクチンを無料で受けることができます。
そのため、
「まだ受けていない」
「1回しか受けていない」
という方は、一度接種歴を確認してみることをおすすめします。
学校で案内されます
ウィーンでは、Volksschule 4年生頃に学校を通じて接種が案内されることがあります。
「あとで受けよう」
と思っているうちに、学校から配られた書類を見落としてしまうこともあります。
お子さんが学校に通っている場合には、ワクチン関連の案内が来ていないか、一度確認してみるとよいかもしれません。
接種回数は?
現在は年齢によって接種回数が異なります。
一般的には、
9歳〜30歳未満:→ 2回接種
30歳以上:→ 3回接種
が基本です。
ただし、免疫状態などによって例外もありますので、詳しくは接種時に確認してください。
大人になってからでも意味はある?
「もう大人だから遅いのでは?」
と質問されることがあります。
HPVワクチンは、すでに感染しているHPVを治療するワクチンではありません。
一方で、過去に性交渉の経験があったとしても、ワクチンに含まれるすべてのHPV型に感染しているとは限りません。
そのため、まだ感染していない型に対して予防効果が期待できる可能性があります。
30歳以上でも、接種について相談する意味がある場合があります。
尖圭コンジローマも予防できる可能性があります
HPVワクチンの話になると、どうしても「がん予防」に注目が集まります。
しかし、尖圭コンジローマの予防も重要です。
命に関わる病気ではありませんが、
・治療に時間がかかる
・再発することがある
・パートナーへの配慮が必要になる
など、実際には負担の大きい病気です。
ワクチンによって予防できる可能性があることは、知っておいてよいと思います。
ワクチンを受けても検診は必要です
HPVワクチンは非常に有効な予防法ですが、すべてのHPV型を防ぐわけではありません。
また、接種前に感染していたHPVを治療する効果はありません。
そのため、ワクチンを接種した後も、年齢に応じた子宮頸がん検診などは続けることが大切です。
ワクチンと検診は、どちらか一方ではなく、両方で予防していくものです。
まとめ
HPVワクチンは、「子宮頸がんワクチン」という名前から想像される以上に、幅広い病気の予防につながるワクチンです。
特に、
・お子さんが対象年齢に入っている
・接種歴がはっきりしない
・1回だけ受けてそのままになっている
という場合には、一度母子手帳やワクチン記録を確認してみることをおすすめします。
HPVワクチンは、数少ない「がんを予防できるワクチン」のひとつです。
オーストリアでは利用できる制度も整っています。
この機会に、ご自身やご家族の接種状況を確認してみてはいかがでしょうか。
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