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若くても乳がんになることはあるのか― ウィーンでの検診と、今できること ―

病棟で勤務していると、20代や30代で乳がんと診断される方に出会うことがあります。多くは、出産後や、お子さんがまだ小さい時期の方です。


もちろん、乳がん全体としては年齢とともに増える病気ではありますが、

「若いから大丈夫」

と言い切れない場面があることも、日々感じています。



オーストリアでは、乳がん検診(マンモグラフィー)は、


👉 原則として45歳から69歳の女性を対象に

👉 2年ごとの検診


が推奨されています


いわゆる「公的な検診プログラム」として案内が届くのはこの年齢層です。


また、

👉 40歳以上であれば、希望に応じて検査を受けることも可能です


ただしこの場合は、自主的な申請が必要になります。


これは、公衆衛生的に


👉 「有効性が高い年齢層」

に重点を置いているためであり、


👉 若い年齢では発症頻度が低いことに加え、

👉 乳腺が高濃度であることが多く、検査の精度が相対的に低いこと

👉 検診のメリットとデメリットのバランス


が考慮されています。


ただし、これは


👉 「若い人には起こらない」という意味ではありません


実際には、・20代、30代で発症するケース・妊娠・出産をきっかけに気づくケースも一定数存在します。


頻度は低くても、「ゼロではない」という点が重要です。


また、家族に乳がんの方がいる場合には、少し状況が異なります。


特に、

・母親や姉妹など近い血縁者に乳がんの既往がある

・若い年齢で発症している


といった場合には、一般的な検診年齢よりも早い段階での評価が検討されることがあります。


具体的には、

👉 検診開始年齢を前倒しする

👉 必要に応じて専門外来での評価を行う


といった対応が取られることもあります。


いずれも一律に決まるものではなく、個々のリスクに応じて判断されるため、気になる場合には一度相談してみることが勧められます。


また一部では、遺伝的な要因が関係するタイプの乳がん(いわゆる遺伝性乳がん)が知られています。


代表的なものとしては、BRCA1やBRCA2といった遺伝子の変化が関与するケースがあり、

若い年齢での発症や、

家族内で複数の方が乳がん・卵巣がんを経験されている場合には、

専門的な評価(遺伝カウンセリングなど)が検討されることもあります。


ただし、こうしたケースは全体の中では一部であり、過度に心配する必要はありません。


気になる背景がある場合に、一度整理してみるという位置づけで考えるとよいかと思います。


そのため大切なのは、


👉 年齢だけで安心しすぎないこと

👉 体の変化に気づいたときに放置しないことです。


また、日常的にできることとして、


👉 自分の乳房の状態に関心を持ち、変化に気づく習慣を持つことも一つの方法です。


いわゆる自己触診については、死亡率を下げる明確なエビデンスは限定的とされていますが、普段との違いに気づくきっかけになる可能性があります。


月経のある方では、

👉 月経が始まってからおよそ1週間〜10日目ごろは乳腺の張りが落ち着いており、変化に気づきやすい時期とされています。


毎月同じタイミングで触れる習慣を持つことで、普段の状態との違いに気づきやすくなることがあります。


例えば、・しこり・左右差の変化・皮膚の変化

など、「いつもと違う」と感じることがあれば、一度確認してみることが勧められます。


なお、若い年代では乳腺が高濃度であることが多く、マンモグラフィで変化が見えにくい場合があります。

そのため、しこりなどの症状がある場合には、エコー(超音波)検査が有用とされ、状況に応じて併用されることがあります。


一方で、エコーを検診として広く行うことについては、利益と不利益のバランスから個別に判断されるとされています。


海外で生活していると、


・どこに相談すればよいのか分からない

・言葉の問題で受診をためらう


といった理由で、受診が遅れることもあります。


そのため、

👉 「何かあれば相談してよい」という感覚を持っておく

ことも大切な要素になります。


乳がんに限らず、「自分はまだ大丈夫」と思いやすい時期ほど、小さな変化を見逃しやすいものです。



すべてを心配する必要はありませんが、違和感を感じたときに立ち止まって考えることは、決して大げさなことではありません。


迷うときには、無理のない範囲で一度整理してみることも、一つの選択肢かもしれません。



もし気になる症状がある場合や、検査について迷われている場合には、一度ご相談いただくことも選択肢の一つです。

当院では、日本語でのご説明に加え、必要に応じてマンモグラフィーや超音波検査を行う医療機関へのご紹介も行っています。

 

  1. European Commission Initiative on Breast Cancer. (2020). Breast cancer screening and diagnosis: a synopsis of the European Breast Guidelines. Annals of Internal Medicine.

  2. Sardanelli, F., et al. (2017). Position paper on breast cancer screening. European Radiology, 27(7), 2737–2743.

  3. Gartlehner, G., et al. (2013). Mammography in combination with breast ultrasonography versus mammography. Cochrane Database of Systematic Reviews.


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