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睡眠不足は脳に影響する?|認知症と健康との関係

更新日:5月1日

睡眠は、単なる休息ではなく、体と脳の健康に深く関わることが分かってきています。


これまでの記事では、認知症の検査治療予防についてお話ししてきました。


その中で、最近とくに重要性が注目されているのが「睡眠」です。


最近、「よく眠れていますか?」と患者さんに伺う機会が増えました。


忙しい日常の中で、睡眠はつい後回しにされがちですが、

実は健康や体の変化、さらには加齢現象にとても深く関わっていることが分かってきています。



睡眠というと「休む時間」というイメージがありますが、実際にはそれ以上の役割を持っています。



睡眠中、脳の中では、日中の活動でたまった老廃物を外に排出する仕組みが働いています。


この過程には、アルツハイマー病に関係する

アミロイドβと呼ばれる物質も含まれていると考えられています。



つまり、睡眠は単なる休息ではなく、

脳を整える時間でもあるということです。



さらに最近では、睡眠と「加齢」との関係も注目されています。



例えば、細胞の寿命に関わるテロメアは、慢性的な睡眠不足やストレスによって短くなる可能性があるとされています。



また、加齢に関連するさまざまな物質も研究されていますが、どれか一つで大きく変わるというよりは、生活全体のバランスの中で睡眠が重要な土台になっていると考えられています。



一方で、


・睡眠時間が極端に短い状態

・眠りが浅い状態

・夜中に何度も目が覚める状態


といった状態が続くことは、将来的な認知機能低下と関連する可能性があることも報告されています。



私自身もそうですが、海外生活では生活リズムが崩れやすく、

気づくと「なんとなく疲れが取れない」「眠りが浅い」と感じることがあります。


こうした話をすると、「しっかり寝なければ」と思う一方で、

実際には思うように眠れないこともあります。



「早く寝よう」と思うほど眠れなくなる、という感覚を持たれる方も少なくありません。


そのため大切なのは、「完璧な睡眠」を目指すことではなく、生活の中で少し整えていくことかもしれません。


例えば、


・寝る時間と起きる時間を大きくずらさない

・日中に少しでも外の光を浴びる

・寝る前のスマートフォンの時間を減らす


といったシンプルな習慣でも、睡眠の質は少しずつ変わってきます。


ウィーンのように季節によって日照時間が大きく変わる環境では、体内時計のリズムが影響を受けることもあります。


そうした中で、


「少し外に出て光を浴びる」

「生活のリズムを整える」


といったことが、結果的に睡眠を支えることにもつながります。


睡眠は特別な治療ではありません。


けれど、日々の積み重ねの中で、脳の健康や、将来の老化のあり方にも静かに関わっていくものの一つです。


すべてを整えることは難しくても、少しだけ意識を向けてみる。


それだけでも、体調の変化に気づくきっかけになるかもしれません。


・Xie L et al. Sleep drives metabolite clearance from the adult brain. Science. 2013

・Sabia S et al. Association of sleep duration in middle and old age with incidence of dementia. Nat Commun. 2021

・Irwin MR. Sleep and inflammation: partners in sickness and in health. Nat Rev Immunol. 2019

 

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