果実ジュースやスムージーは身体によい? ―健康的なイメージと、知っておきたい注意点―
- Dr. Rie Iwaki

- 6月12日
- 読了時間: 6分
「毎朝フルーツジュースを飲んでいます」
「スムージーなら身体によさそう」
そんな声をよく聞きます。
果物は健康によいというイメージがありますし、実際にビタミンやミネラル、食物繊維などを含む大切な食品です。
ですから、そう感じるのはとても自然なことだと思います。
ただ、果実ジュースやスムージーについては、少しだけ誤解されやすい点もあります。
今回は、「果物」と「ジュース・スムージー」の違いについて、いっしょに考えてみたいと思います。
果物そのものは健康的な食品
まず大前提として、果物そのものは健康的な食品です。
果物には、
・ビタミン
・ミネラル
・食物繊維
・ポリフェノールなどの抗酸化物質
が含まれています。
多くの研究で、果物の摂取は心血管疾患や高血圧などのリスク低下と関連することが報告されています。
つまり、
「果物を食べること」は、基本的に健康的な習慣です。
ジュースになると何が変わる?
問題は「果物」ではなく、「果実ジュース」のほうです。
オレンジを丸ごと1個食べる場合と、オレンジジュースを飲む場合では、思っている以上に違いがあります。
ジュースにすると、
・食物繊維が減る
・短時間でたくさん摂取できる
・血糖値が上がりやすい
という特徴があります。
さらに、かむ必要がないぶん満腹感を得にくく、
「もう少し」と量が増えやすいのも、
液体の飲み物に共通する性質です。
オレンジを3〜4個食べるのは大変ですが、ジュースなら簡単に飲めてしまいますよね。
その結果、自分では気づかないうちに、糖分やカロリーの摂取量が増えていることがあります。
これは意志の弱さではなく、飲み物そのものの性質によるものです。
「100%果汁」でも飲みすぎには注意
「100%果汁だから健康的」
と思われることもあります。
確かに、砂糖入りの清涼飲料水よりは望ましい場合もあります。
ただ、
100%果汁であっても、
・果糖(フルクトース)
・ブドウ糖
はしっかり含まれています。
そのため、大量に飲めば、体重増加や血糖値の上昇につながる可能性があります。
特に糖尿病や、その予備群にあたる方は、量と頻度に少し気を配ると安心です。
スムージーはどうなの?
スムージーは、ジュースより良い場合もあります。
果物を丸ごと使うため、食物繊維がある程度残るからです。
ただし、
・果物を何種類も大量に入れる
・はちみつやシロップを加える
・市販品を頻繁に利用する
といった場合には、糖分やカロリーがかなり多くなることがあります。
「身体に良いから」と思って飲んでいたら、実はおやつ以上のカロリーだった、ということも珍しくありません。
市販のスムージーは、中身もさまざま
スーパーやカフェで売られているスムージーの中には、
果物だけでなく、
・濃縮果汁
・砂糖
・シロップ
などが加えられているものもあります。
見た目が健康的でも、必ずしも「低糖質」や「低カロリー」とは限りません。
ときどき栄養成分表示をのぞいてみる習慣があると、選びやすくなります。
子どもの場合は、もう少し気をつけて
ジュースは飲みやすいため、子どもも好みます。
ただ、
・虫歯のリスク
・糖分の過剰摂取
・肥満リスク
との関連が指摘されています。
小児科や栄養学のガイドラインでも、
果物はジュースではなく、できるだけそのまま食べることが勧められています。
例外もある?トマトジュースの場合
ここまで「ジュースには少し注意」という話をしてきましたが、
なかには事情の違う飲み物もあります。
その一つが、トマトジュースです。
トマトは果物のように甘くないため、
果実ジュースで問題になった糖分が、もともと少ないのが特徴です。
さらに、トマトの赤い色のもとである「リコピン」には、
加工することで、かえって体に吸収されやすくなるという性質があります。
つまりトマトジュースは、
「ジュースにすると損をする」
という一般的なパターンに、必ずしも当てはまりません。
カリウムや食物繊維も、ある程度含まれます。
研究でも、トマトやリコピンの摂取が、
血圧やコレステロール、血管の健康に対して、
穏やかながら良い影響を持つ可能性が報告されています。
ただし、劇的な効果ではなく、薬の代わりになるものではありません。
そして、トマトジュースには一つだけ、大きな注意点があります。
それは、塩分です。
市販のトマトジュースや野菜ジュースには、
食塩が加えられているものが少なくありません。
特に血圧が気になる方は、
「食塩無添加(無塩)」
と表示されたものを選ぶと安心です。
まとめると、トマトジュースは、
糖分の心配が少なく、体によい成分も含む、比較的おすすめしやすい飲み物です。
ただし、塩分の表示だけは確認する。
この一点を覚えておくとよいでしょう。
では、どうすればよい?
果実ジュースやスムージーを、完全にやめる必要はありません。
大切なのは、量と頻度です。
例えば、
・果物はできるだけそのまま食べる
・ジュースは毎日ではなく、ときどき楽しむ
・スムージーは野菜も組み合わせる
・空腹時に大量に飲まない
・水やお茶を基本の飲み物にする
といった工夫が役立ちます。
どれも、今日から少しずつ始められることばかりです。
地中海食に学ぶ考え方
オーストリアでは、果物や野菜、オリーブオイル、豆類などが比較的手に入りやすく、地中海食に近い食生活を取り入れやすい環境があります。
地中海食の特徴は、
「ジュースを飲むこと」
ではなく、
「果物や野菜を、そのままの形で食べること」
にあります。
健康的な食生活を考えるときも、加工された飲み物より、できるだけ自然な形の食品を選ぶことが基本になります。
まとめ
果物そのものは、健康的な食生活の一部としておすすめできる食品です。
一方で、果実ジュースやスムージーは、
健康的なイメージがある反面、
思った以上に糖分やカロリーを摂ってしまうことがあります。
トマトジュースのように、例外的に評価できる飲み物もありますが、
その場合も、塩分など別の点に気を配ることが大切です。
共通して言えるのは、
「身体に良いから、たくさん飲む」
ではなく、
「適量を楽しむ」
という考え方です。
健康的な食生活は、特別な食品を取り入れることよりも、日々の小さな積み重ねから作られていきます。
まずは、普段飲んでいるジュースやスムージーの成分表示を、一度のぞいてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
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