アルツハイマー病の新しい治療|点滴薬はどこまで進んでいる?
- Dr. Rie Iwaki

- 4月20日
- 読了時間: 3分
前回は、認知症の血液検査についてまとめました。
▶前回記事リンク
認知症の新しい点滴治療について、最近耳にする機会が増えてきました
最近、このテーマについて関心を持たれる方が少しずつ増えてきているように感じます。
前回の記事では、「血液検査で認知症がわかるのか」というテーマについてお話ししましたが、その流れの中で、次に気になるのが「治療」のことかもしれません。
現在、アルツハイマー病に対しては、
Lecanemab(レカネマブ/商品名:Leqembi)や
Donanemab(ドナネマブ/商品名:Kisunla)
といった、
新しい点滴による治療が登場しています。
これらは、これまでの薬とは少し考え方が異なり、病気の原因の一つとされる物質に働きかける治療です。
ただし、ここで一つ大切なことがあります。
これらの治療は、病気を止めるものでも、元に戻すものでもありません。
現在分かっているのは、病気の進み方を、ある程度ゆるやかにする可能性があるという段階です。
これまでの治療について
一方で、これまで使われてきたお薬も、今も大切な選択肢です。
代表的なものとしては、
・ドネペジル(アリセプト)
・ガランタミン(レミニール)
・リバスチグミン(イクセロン/貼付剤あり)
といったお薬があり、脳内の神経伝達を助けることで、記憶や日常生活の機能を保つことを目的に使われます。
また、進行した段階では、
・メマンチン(メマリー/エビクサ)
といったお薬が併用されることもあります。
これらの薬は、病気の原因そのものに直接働きかけるわけではありませんが、症状の進行をゆるやかにしたり、日常生活を支えるという意味で、現在でも治療の中心となっています。
また、新しい点滴治療も含めて、誰でも受けられる治療というわけではありません。
対象となるのは、
・軽度の認知機能低下(MCI)
・あるいはごく初期の認知症
といった、比較的早い段階の方で、さらにアルツハイマー病による変化が確認されている場合に限られます。
そのため、
「少し忘れっぽい気がする」「年齢のせいかもしれない」
といった段階で、すぐにこの治療になるわけではありません。
専門的な検査や評価を重ねたうえで、慎重に適応が判断されます。
さらに、副作用についても知っておく必要があります。
この治療では、脳のむくみや微小な出血など、画像で確認される変化が起こることがあり、多くの場合は軽度ですが、注意深い経過観察が必要とされています。
こうして見ると、まだ限られた条件の中で使われている治療ではありますが、それでも大きな変化が起きていることも事実です。
これまで、認知症は「早く分かってもできることが少ない」と感じられる場面もありました。
けれど今は、
・早く気づくこと
・状態を正しく知ること
が、将来の選択肢につながる可能性が出てきています。
すべての方に新しい治療が必要なわけではありません。
むしろ多くの場合は、生活習慣や体の状態を整えること、必要に応じて従来の治療を行うことが、基本になります。
それでも、「これからは少し違うかもしれない」
そう感じられる変化が、少しずつ積み重なってきています。
もの忘れは、すぐに特別な何かを意味するものではありません。
けれど、もし気になる変化があるときには、一度立ち止まって考えてみることも、これからの時間の過ごし方につながっていくのかもしれません。
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