それ、更年期かもしれません―疲れやすさ・動悸・眠れなさの背景に―
- Dr. Rie Iwaki

- 3 時間前
- 読了時間: 6分
「最近、なんとなく疲れやすい」
「以前より眠りが浅くなった」
「急に汗が出たり、動悸がしたりする」
そんな変化を感じることはありませんか。
忙しい毎日の中では、
「年齢のせいかな」
「ストレスがたまっているのかも」
「気のせいかもしれない」
と思って、そのままになっていることも少なくありません。
けれど、その背景に“更年期”が関係していることがあります。
更年期とは?
更年期とは、一般的に閉経の前後の時期を指します。
日本では「閉経前後およそ10年間」と説明されることが多く、40代後半から50代前半にかけて症状を感じる方が多くみられます。
閉経とは、医学的には「月経が12か月ない状態」を指します。その前後には、女性ホルモン、特にエストロゲンの分泌が大きくゆらぎ、やがて低下していきます。
このホルモンの変化が、ほてり、発汗、睡眠の乱れ、気分の変化などに関係することがあります。
ただし、症状の出方には個人差があり、
「ほとんど気にならない」
という方もいれば、日常生活や仕事に大きく影響する方もいらっしゃいます。
よくみられる症状
更年期では、さまざまな症状がみられることがあります。
例えば、
・疲れやすい
・ほてり、ホットフラッシュ
・寝汗、急な発汗
・動悸
・息苦しさ
・眠れない、眠りが浅い
・気分の落ち込み
・イライラしやすい
・不安感
・めまい
・肩こり
・頭痛
・関節や筋肉のこわばり
・集中しにくい
・月経周期の乱れ
・腟の乾燥感、性交時の痛み、尿のトラブル
などです。
一方で、
「どこが悪いのか分からないけれど、なんとなくしんどい」
という形で感じられることも少なくありません。
更年期だけとは限らないことも
ここで大切なのは、すべてを「更年期だから」で片づけないことです。
更年期と似た症状を起こす病気や状態には、例えば、
・貧血、鉄不足
・甲状腺疾患
・不整脈
・高血圧
・睡眠障害
・うつ、不安症状
・感染症や炎症
・薬の影響
などがあります。
特に、
・急激な体重変化
・強い動悸
・胸痛
・息切れ
・失神しそうになる、実際に倒れる
・今までにない強い頭痛
・強い気分の落ち込み
・死にたい気持ちがある
・閉経後の出血
・月経量が非常に多い、または出血が長引く
などがある場合には、更年期だけと考えず、一度ほかの病気が隠れていないか確認することが大切です。
月経の変化と不正出血について
更年期の時期には、月経周期が短くなったり長くなったり、出血量が変わったりすることがあります。
ただし、すべての出血を「更年期だから」と考えてよいわけではありません。
特に、
・閉経後に出血があった
・出血量が非常に多い
・出血が長く続く
・月経と月経の間に出血する
・性交後に出血する
といった場合には、子宮や卵巣、ホルモンの状態を含めて、婦人科での確認がすすめられます。
海外生活と更年期
海外生活では、
・言語のストレス
・生活環境の変化
・家族との距離感
・仕事や子育てとの両立
・医療機関へのかかり方の違い
など、知らないうちに心身への負担が積み重なっていることがあります。
また、ウィーンのように季節による日照時間の変化が大きい地域では、気分や睡眠に影響を感じる方も少なくありません。
そうした背景の中で、更年期症状が強く感じられることもあります。
「海外生活のストレスなのか、更年期なのか、ほかの病気なのか分からない」という場合も、まずは症状を整理し、必要に応じて血液検査や心電図などで確認していくことが役立ちます。
運動や睡眠も大切
更年期症状に対しては、薬だけでなく、生活習慣を整えることも重要です。
特に、適度な運動は、
・気分の安定
・睡眠の改善
・疲労感の軽減
・ストレス軽減
・筋力や骨の健康維持
・生活習慣病の予防
などにつながる可能性があります。
ウォーキング、軽い筋力トレーニング、ストレッチ、ヨガなど、無理なく続けられる運動を習慣にすることが大切です。
ただし、ほてりや発汗そのものへの効果には個人差があります。「運動すれば必ず治る」と考えるよりも、体調全体を整える土台として取り入れるのがよいでしょう。
また、睡眠不足は、自律神経や気分にも影響し、更年期症状を強く感じやすくすることがあります。
そのため、
・寝る時間を大きくずらさない
・朝に光を浴びる
・寝る前のスマートフォンを控える
・夕方以降のカフェインやアルコールを控えめにする
・寝汗がある場合は寝具や室温を調整する
といった、基本的な睡眠習慣を整えることも大切です。
どんな治療がある?
症状や生活への影響に応じて、さまざまな選択肢があります。
まずは、
・生活リズムを整える
・睡眠を見直す
・運動習慣をつける
・ストレスケア
・症状の記録をつける
といったことが役立つ場合があります。
また、必要に応じて、
・ホルモン補充療法、HRT
・漢方薬や植物由来製剤など・睡眠に対する治療
・気分の落ち込みや不安に対する治療
・腟や尿の症状に対する局所治療
・婦人科、循環器科、精神科・心理療法など専門医への紹介
が検討されることもあります。
ホルモン補充療法は、ほてり、寝汗、睡眠の乱れなどに有効な治療選択肢の一つです。一方で、乳がんや血栓症、脳卒中、心筋梗塞、原因不明の性器出血、重い肝疾患などの既往がある場合には、慎重な判断が必要です。
また、子宮がある方では、通常エストロゲンだけでなく、子宮内膜を守るための黄体ホルモンを組み合わせる必要があります。
HRTが合うかどうかは、症状の程度、年齢、閉経からの期間、既往歴、家族歴、血圧、喫煙、血栓リスクなどを踏まえて判断します。
検査が役立つこともあります
典型的な年齢・症状の場合、更年期かどうかをホルモン検査だけで判断するわけではありません。
一方で、症状が強い場合、年齢が若い場合、月経異常がある場合、動悸や息切れが目立つ場合などには、必要に応じて、
・血液検査
・貧血や鉄不足の確認
・甲状腺機能の確認
・血糖や脂質、肝腎機能の確認
・心電図
・婦人科検査
などを行うことがあります。
特に45歳未満で月経が止まる、40歳未満で閉経のような症状がある、といった場合には、早発閉経・早発卵巣不全なども含めて専門的な確認がすすめられます。
「我慢するしかない」ではありません
更年期は、誰にでも起こりうる自然な変化です。
一方で、症状が強い場合には、日常生活や仕事、家族との時間に影響することもあります。
「このくらい我慢しないと」と思われる方も少なくありませんが、必要以上に一人で抱え込まなくてもよいこともあります。
更年期の症状は、生活習慣の見直し、治療、専門医との連携によって軽くできる場合があります。
まとめ
更年期の症状は、とても幅広く、人によって現れ方も異なります。
そのため、
「更年期なのか、ほかの病気なのか分からない」
と感じることも少なくありません。
すべてを不安に思う必要はありませんが、気になる変化が続く場合には、一度体の状態を整理してみることが大切です。
それが、これからの生活を少し楽にするきっかけになることもあります。
当院では、必要に応じて血液検査、心電図、婦人科や専門医へのご紹介も行っております。気になる症状がある場合には、お気軽にご相談ください。
コメント