それ、甲状腺の病気かもしれません―疲れやすさ・動悸・体重変化の背景に―
- Dr. Rie Iwaki

- 5月30日
- 読了時間: 4分
「最近なんとなく疲れやすい」
「以前より動悸が気になる」
「食事量は変わらないのに体重が増えた(減った)」
そんな変化を感じることはありませんか。
忙しい毎日の中では、
「年齢のせいかな」
「ストレスがたまっているのかも」
「更年期かもしれない」
と思って過ごしていることも少なくありません。
けれど、その背景に甲状腺の病気が隠れていることがあります。
甲状腺とは?
甲状腺は、のどぼとけの下あたり、首の前側にある小さな臓器です。
ここで作られる甲状腺ホルモンは、体の代謝や体温の調節、心臓の働きなど、全身の活動に関わっています。
そのため、甲状腺ホルモンが多すぎても少なすぎても、体のあちこちにさまざまな症状が現れます。
女性に多い病気です
甲状腺の病気は男性にも起こりますが、女性に多いことが知られています。
特に40〜60代では、更年期の症状とよく似た不調が現れることもあり、見過ごされてしまうことがあります。
甲状腺ホルモンが多すぎる場合
(甲状腺機能亢進症)
代表的な病気にバセドウ病があります。
例えば、
・動悸
・汗が増える
・暑がりになる
・手が震える
・食欲は落ちないのに体重が減る
・イライラしやすい
・眠れない
といった症状がみられることがあります。
「最近なぜか落ち着かない」
「心臓がバクバクする」
という訴えで見つかることもあります。
甲状腺ホルモンが少なすぎる場合
(甲状腺機能低下症)
代表的な病気に橋本病があります。
橋本病は甲状腺に慢性的な炎症が起こる病気で、時間をかけて甲状腺の働きが弱まっていくことがあります。
こちらは亢進症とは反対に、
・疲れやすい
・だるい
・眠い
・体重が増える
・むくみやすい
・寒がりになる
・気分が落ち込む
・物忘れが増えた気がする
といった症状がみられます。
ゆっくり進行することが多いため、
「年齢のせいかな」
と思われたまま見過ごされていることも少なくありません。
更年期やストレスとの違いは?
実は、甲状腺の病気は更年期の症状やストレス、不眠、うつ症状などと区別が難しいことがあります。
例えば、
・動悸
・発汗
・疲労感
・気分の落ち込み
・不眠
は、更年期でも甲状腺の病気でもみられます。
そのため、症状だけで見分けるのは難しく、血液検査で確かめることが大切になります。
どんな検査をする?
甲状腺の病気は、比較的簡単な血液検査で調べることができます。
まず手がかりになるのが TSH(甲状腺刺激ホルモン)です。 TSHは甲状腺の働きの変化をとても鋭敏に映し出すため、最初のスクリーニングとして重要です。
これに加えて、
・FT4
・FT3
といった甲状腺ホルモンそのものを測り、TSHの結果と合わせて状態を判断します。
必要に応じて、
・甲状腺の自己抗体(バセドウ病ではTRAb、橋本病ではTPO抗体など)
・甲状腺の超音波検査
を行うこともあります。
治療は?
原因によって異なります。
甲状腺機能亢進症では、まずホルモンの作りすぎを抑える薬を使うことが一般的です。
状態によっては、アイソトープ(放射性ヨウ素)治療や手術が選ばれることもあります。
甲状腺機能低下症では、不足しているホルモンを薬で補う治療を行います。
いずれも、適切な治療によって症状が大きく改善することは少なくありません。
こんな方は一度ご相談を
・疲れやすさが続いている
・動悸が気になる
・体重が急に増えた、または減った
・暑がり(寒がり)になった
・更年期だと思っているが不調が強い
・ご家族に甲状腺の病気の方がいる
こうした場合には、一度確かめてみる価値があるかもしれません。
まとめ
甲状腺は小さな臓器ですが、全身に大きな影響を与えています。
そのため、疲労感や動悸、体重の変化など、一見すると別の原因に思える症状の背景に、甲状腺の病気が隠れていることがあります。
すべてを病気と考える必要はありません。
けれど、 「なんとなく調子が悪い状態が続いている」
そんなときには、一度立ち止まって、体からのサインに耳を傾けてみる。
それが、思わぬ病気の早期発見につながることもあります。
当院では、必要に応じて甲状腺機能を含む血液検査や、専門医へのご紹介も行っております。
気になる症状がある場合には、お気軽にご相談ください。
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